中部電力、浜岡原発の停止決定へ
中部電力は9日午後、臨時の取締役会を開き、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全炉停止を求めた菅直人首相の要請について、受け入れを決める。
中部電は、全炉をとめても、電力需要が増える夏場に安定的な供給ができるかどうかや、代替となる火力発電用の燃料が確保できるかどうかを検証していた。
7日の取締役会では、「検討事項が極めて重要な事項で、多岐にわたっている」として判断を持ち越していた。
菅直人首相が中部電力に対し、浜岡原子力発電所(静岡県)のすべての原子炉を停止するよう要請したことを受けて、新潟県の泉田裕彦知事は6日深夜、「いまだ福島第一原発で起こった事故の検証がなされていない中で、適切な対応といえるのか判断しかねる」とのコメントを発表した。国の判断に疑問を呈し、説明を求めたものだ。
知事は、国の判断の根拠について「詳細を承知していない」としたうえで、福島第一原発では停止中だった4号機も爆発を起こしたと指摘。「単純に停止していれば安全と言えるのか疑問がある」と指摘した。
また、「何をもって、このような要請を行ったのか、前提となる考え方や基準などについて、国には責任を持った説明を求めたい」と国の姿勢をただす意向を示した。
「業績の悪化は確実で、代表訴訟が起きる可能性もある。それでも受諾しなければならないのか」
7日に開かれた臨時取締役会では、「法律を超えた判断」(原子力安全・保安院の西山英彦審議官)への異論が噴出した。
同社には浜岡の3~5号機の3基しか原発はなく、火力発電の割合が7割強とほかの電力会社に比べて際立って高く、燃料費に業績が大きく左右される経営体質を抱えている。
原発をすべて火力に切り替えると、1日当たり約7億円、年間約2500億円ものコストアップになり、今年度に見込む1050億円の経常利益が吹き飛び、赤字転落は確実な情勢だ。
細野豪志首相補佐官は8日の会見で、政府が燃料確保などで支援する考えを示した。ただ、要請に基づく「自主判断」の場合、業績の補填までは望めない。