世界遺産おめでとう 平泉 「東北復興導く力に」 中尊寺境内の歴史
中尊寺(ちゅうそんじ)は、岩天台宗東北大本山の寺院で、奥州藤原氏三代ゆかりの寺として有名である。寺伝によると創建は平安時代初期の嘉祥3年(850年)に円仁(慈覚大師)が関山弘台寿院を開いたとある。中尊寺の名前になったのは、貞観元年(859年)で、清和天皇から「中尊寺」の額を賜ったことに起因する。しかし、これらの歴史を裏付ける史料や発掘調査などによる学術的裏づけがなく、事実上、12世紀初頭に奥州藤原氏の初代・藤原清衡が堀河天皇の勅命を受けて伽藍を整備したのが中尊寺の創建といわれている。中尊寺の境内には中尊寺本坊のほか、17か院の子院がある。中尊寺は毛越寺などとともに世界遺産の推薦リストに登録されている。
中尊寺で特に有名なのが平等院鳳凰堂とともに平安時代浄土教建築の代表例でもある金色堂である。金色堂は奥州藤原氏の初代藤原清衡により建立されたもので、棟木銘から天治元年(1124年)に建立されたことがわかった。金色堂は建立数10年後から覆堂(おおいどう)と呼ばれる建物の内部に立てられていた。つまり、建物の内部にある建物が金色堂である。現在の覆堂は1962年に金色堂が解体修理をされた際に建てられたもので、空調完備の鉄筋コンクリート製となっている。それまで使用されていた覆堂は室町時代中頃の建立で、1964年に100メートルほど北西の現在地に移築された。
国宝
- 中尊寺金色堂 1棟
桁行三間、梁間三間、一重、宝形造、本瓦形板葺
- 附:棟札4枚
- 一、修覆正応元年大歳戊子初冬日の記があるもの
- 一、修□□正応□□六日の記があるもの
- 一、改修造永徳第四甲子二月廿一日の記があるもの
- 一、修復元禄十二己夘秊十月三日の記があるもの
- 附:納札1枚
- 一、元禄拾弐卯つちのと十月朔日の記があるもの
- 附:旧組高欄 6組
- 附:古材 6点 (入側柱2、側柱1、隅棟2、木瓦1)
- 附:旧飾金具 2点 (八双金具1、藁座金具1)
- 明治30年(1897年)12月28日、当時の古社寺保存法に基づき、特別保護建造物に指定
- 昭和26年(1951年)6月9日、文化財保護法に基づき、国宝に指定。棟札4枚のうち2枚(正応元年初冬日のものと永徳4年のもの)はこの時、追加指定。
- 昭和53年(1978年)5月31日、附の棟札残り2枚、納札、旧組高欄、古材、旧飾金具が追加指定される。
金色堂堂内諸像及天蓋 31躯、3面
- 木造阿弥陀如来及両脇侍像 3躯
- 木造地蔵菩薩立像 6躯
- 木造二天王立像 2躯
- 木造天蓋 1面
(中壇)
- 木造阿弥陀如来及両脇侍像 3躯
- 木造地蔵菩薩立像 6躯
- 木造二天王立像 2躯
- 木造天蓋 1面
(左壇)
- 木造阿弥陀如来及両脇侍像 3躯
- 木造地蔵菩薩立像 6躯
- 木造二天王立像 1躯
- 木造天蓋 1面
(右壇)
- 附:木造阿弥陀如来坐像(右壇安置) 1躯
- 附:木造光背台座等残片 一括
- 昭和31年(1956年)6月28日、仏像32躯と光背台座等残片一括(附指定)が重要文化財に指定。
- 平成16年(2004年)6月8日、別件で国宝に指定されていた天蓋3面を追加指定し、「金色堂堂内諸像及天蓋」として、あらためて国宝に指定。右壇の阿弥陀如来は「附」指定となる。
中尊寺金色堂堂内具
- 木造礼盤 1基
- 螺鈿平塵案 3基
- 磬架 1基 附:孔雀文磬 1面
- 金銅幡頭3枚
- 金銅華鬘(迦陵頻伽文) 6枚
- 明治36年(1903年)4月15日、天蓋2面と幡頭3枚が当時の古社寺保存法に基づき、国宝(現行法の重要文化財に相当)に指定。同年同日、華鬘6枚が同じく古社寺保存法に基づき、国宝に指定。
- 大正4年(1915年)3月26日、案2基と磬架1基が古社寺保存法に基づき、国宝に指定。
- 昭和33年(1958年)2月8日、文化財保護法に基づき、既指定の「天蓋2面、幡頭3枚」、「華鬘6枚」、「案2基、磬架1基」の3件の文化財を統合し、これに天蓋1面、礼盤1基、磬1面を追加指定したうえで、「中尊寺金色堂堂内具」の名称で、あらためて国宝に指定。
- 昭和53年(1978年)6月15日、国宝「中尊寺金色堂堂内具」に案1基を追加指定。
- 平成16年(2004年)6月8日、国宝「中尊寺金色堂堂内具」から天蓋3面を分離。当該天蓋は「金色堂堂内諸像及天蓋」の一部となる。
重要文化財
金色堂須弥壇内納置棺及副葬品
- 金箔押木棺 1合
- 白綾袷袴 1腰
- 白平絹袷袴 1腰
- 白綾袷衾 1帖
- 紫平絹括枕 1箇
- 絹本墨画像 1面
- 赤木柄螺鈿呑口式腰刀(鐺残闕共)1口
- 大刀 1口
- 赤木柄短刀 1口分
- 短刀残闕 1口分
- 刀子鞘残闕 2箇
- 銀鍍金目貫座金 1箇
- 銀鍍金革先金 1対
- 金七ツ金 2箇
- 銀七ツ金 2箇
- 螺鈿目貫座金 1箇
- 金塊 1箇
- 鮫皮残片 一括
- 念珠 一括
- 平絹・綾・錦残闕等 一括
(以上中央壇)
- 金箔押木棺(内張錦共)1合
- 白平絹袈裟 1掛
- 白平絹単衣 1領
- 白平絹袷小袖 1領
- 白平絹括枕 1箇
- 角打紐 一括
- 呑口式打刀 1口・鹿角装鞘残闕 一括
- 鹿角装巴文刀装具残闕 1箇
- 木刀子 1口
- 刀子残闕 2口
- 念珠 一括
- 平絹・綾・錦残闕等 一括
(以上西北壇)
- 金箔押木棺 1合
- 枕芯木 1箇
- 大刀鞘残闕 1箇
- 刀子鞘残闕 4箇
- 鍍金手貫緒鐶 1箇
- 念珠 一括
- 平絹・綾・錦残闕等 一括
(以上西南壇)
- 附:首桶 1合
- 附:赤地錦残片 1枚
- 附:縹綾残片 1枚
- 附:念珠 一括
(以上西南壇所在)
- 附:大刀 2口
- 昭和30年(1955年)6月22日、「考古資料」として重要文化財に指定。
- 昭和49年(1974年)6月8日、追加指定。中央壇の刀子鞘残闕2箇、鮫皮残片一括、西北壇の角打紐 一括、西南壇の刀子鞘残闕4箇、鍍金手貫緒鐶1箇、各壇の念珠一括、平絹・綾・錦残闕等一括がこの時追加される。