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個人事業主なら知っておきたい廃業届の書き方と出し方!提出しないリスクとは?

お役立ち情報 2025/03/06

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個人事業主が事業を終了する際は、廃業届の提出が義務づけられています。廃業届のほかに、申告方法の違いや従業員の有無などによって一緒に提出する書類が異なるため、複雑に感じている事業者も少なくありません。

提出する書類には、それぞれに決められた期限があります。また、従業員への対応や資金面での準備なども必要です。

この記事では、確実に手続きを進められるよう、廃業届の基本情報から具体的な記入方法、スムーズな事業終了に向けた資金計画まで分かりやすく説明します。

個人事業主の廃業届とは?

個人事業主の廃業届は、事業活動の終了を税務署へ正式に報告するための重要な書類です。提出場所や提出期限を確認し、確実に提出することが大切です。以下では、廃業届の具体的な提出方法について解説します。

廃業届の提出場所

個人事業主の廃業届は、納税地を管轄する税務署長に提出する必要があります。納税地とは、確定申告書を提出している税務署の管轄区域のことを指します。

個人事業主の場合、原則として住民票のある住所地を管轄する税務署が提出先となります。住民票上の住所と現住所が異なる場合、変更に関する届出を事前に提出することで、住所地での提出が可能になります。

また、提出先を間違えると手続きが無効となる可能性もあるため、事前に納税地を確認しておきましょう。

廃業届の提出期限

廃業届の提出期限は、事業を廃業した日から起算して1か月以内と定められています。なお、提出期限が土曜日、日曜日、祝日などの休日にあたる場合は、その翌営業日まで期限が延長されます。

提出書類に不備があった場合は受理されず再提出が必要となるため、できるだけ早めの準備を心がけましょう。とくに、年末年始やゴールデンウィークなどの長期休暇をはさむ場合は税務署の開庁日に注意を払い、余裕を持った対応が必要となります。

廃業手続きに必要な書類一覧

廃業手続きでは、事業主の申告方法の違いや従業員の有無などによって複数の書類の提出が必要となります。以下では、各書類について解説します。

個人事業の開業・廃業等届出書

「個人事業の開業・廃業等届出書」は、事業を終了するすべての個人事業主に提出が義務づけられている基本的な書類です。提出期限は廃業日から1か月以内と定められており、管轄の税務署への提出が必要です。

なお、個人事業から法人化する場合も個人事業を終了することになるため、この届出書の提出が求められます。ただし、一部の事業は個人として継続する場合や一時的に休止する場合、提出の必要はありません。

所得税の青色申告の取りやめ届出書

「所得税の青色申告の取りやめ届出書」は、青色申告を行っていた個人事業主が廃業する際に必要となる重要書類です。提出先は管轄の税務署となります。

提出期限は青色申告を取りやめる年の翌年3月15日までです。スムーズな手続きのため、個人事業の開業・廃業等届出書と一緒に提出するとよいでしょう。

書類の「青色申告書を取りやめようとする理由」の欄には「廃業のため」と明記します。また、個人事業の開業・廃業等届出書と一緒に提出する場合は、同時提出の有無を記載する欄に、忘れずに丸印を付けましょう。

事業廃止届出書

消費税の課税事業者として事業を営んでいる方は「事業廃止届出書」の提出も必要です。この書類は管轄の税務署へ提出するもので、提出期限は「事由が生じた場合、速やかに」とされています。

また、適格請求書発行事業者、いわゆるインボイス制度の登録事業者として活動している個人事業主は、事業廃止届出書を提出することで、適格請求書発行事業者の登録取り消し手続きも自動的に行われます。消費税に関する手続きを一括で完了できます。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書

「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」は、従業員を雇用していた事業主が廃業する際に必要となる書類です。提出期限は廃業日から1か月以内と定められており、管轄の税務署への提出が必要です。

なお、従業員との雇用関係の終了に際しては、給与の精算や社会保険の手続きなど、別途必要な対応も忘れずに行いましょう。

所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書

「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」は、予定納税をしている事業者が廃業する際に検討すべき重要な書類です。年の途中で廃業する場合、予定納税額が実際の納付すべき税額を上回ることが予想されるため、この申請書を提出することで余分な納税を避けられます。

なお、この申請を行わず、予定納税後の確定申告で還付を受けることもできます。状況に応じて、どちらの方法が適しているか検討するとよいでしょう。

個人事業主の廃業届の書き方

個人事業主が廃業する際には、税務署への廃業届の提出が必要です。記載に誤りがある場合は、再提出が必要になるため記載漏れがないように記入しましょう。以下では、個人事業主の廃業届の具体的な記入方法について解説します。

基本情報の記入

廃業届の基本情報欄には、納税地や住所・事業所、氏名、個人番号(マイナンバー)などを正確に記入します。

住所欄には現在の住所を、事業所欄には実際に事業を行っていた場所を記入します。氏名はフリガナも忘れずに記載し、個人番号は誤記のないよう慎重に転記しましょう。

また、職業欄には具体的な事業内容を記入します。これらの情報は税務署での本人確認の基本となるため、記載漏れや誤記がないように記入することが大切です。

届出の区分

「届出の区分」欄では、事業の終了理由に応じて適切な項目を選択します。一般的な廃業の場合は「廃業(事由)」に丸を付け、その下の欄に廃業の理由を記入しましょう。

事業を他者に譲渡する場合は「譲渡(事由)」を選択し、譲渡先の情報を記載します。また、個人事業から法人化する場合は「廃業(事由)」を選択したうえで、設立した法人の詳細を記入します。

所得の種類

「所得の種類」欄には、これまで営んできた事業の内容に応じて該当する項目に丸を付けましょう。主な選択肢として、不動産所得・山林所得・事業(営業等)所得があります。事業の一部を廃業する場合は「一部」を選び、内容を記載します。

複数の事業を営んでいる場合は、該当するものすべてに丸を付ける必要があります。この欄は税務署が適切な処理を行うための重要な情報となるため、これまでの確定申告の内容と一致するよう正確に記載します。

開業・廃業等日

「開業・廃業等日」の欄には、実際に事業活動を終了した日付を記入します。この日付は、税務署への書類提出期限の起算日となるほか、確定申告の計算期間にも影響するため、正確な日付の記入が求められます。不明な点がある場合は、事前に税理士に相談しましょう。

廃業の事由が法人の設立である場合

個人事業から法人化する場合は「廃業の事由」欄に加えて、設立した法人についての詳細情報を記入する必要があります。具体的には、法人の名称や代表者名、法人の納税地、そして設立登記日です。

なお、法人設立に伴う廃業の場合でも、提出期限は個人事業の廃業日から1か月以内となるため、法人設立の手続きと並行して準備を進めましょう。

開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」欄では、必要な関連書類の提出状況を確認します。主なチェック項目として「青色申告の取りやめ届出書」と「事業廃止届出書」があり、該当する場合は「有」に丸を付けます。届出書を同時に提出することにより、手続きをスムーズに進められます。

個人事業主の廃業届の出し方

個人事業主の廃業届は、税務署への持参、郵送、e-Taxの3つの方法で提出できます。手続きを確実に行うため、必要書類を事前に確認し、提出期限に余裕を持って対応しましょう。以下では、具体的な提出方法について解説します。

税務署へ持参する

税務署での直接提出は、最も確実な提出方法のひとつです。ほとんどの個人事業主は自宅住所を納税地としているため、お住まいの地域を管轄する税務署への提出となります。

受付時間は平日の8時30分から17時までで、窓口での提出には本人確認書類が必要です。マイナンバーカードを持っている場合は、マイナンバーカードのみで必要な確認が完了します。

マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバーを確認できる書類(通知カード・住民票の写しなど)と、本人確認書類(運転免許証・健康保険証・パスポートなど)の2種類を用意する必要があります。

また、仕事の都合で窓口の受付時間内に訪問できない場合は、税務署に設置されている「時間外収受箱」を利用しましょう。この場合は廃業届に加えて、マイナンバーと本人確認書類のコピーを必ず同封しましょう。

税務署へ郵送する

郵送による提出方法は税務署に直接出向く必要がなく、時間に縛られない便利な方法です。まず、本人確認書類を用意します。マイナンバーカードを持っている場合は、カードの表面と裏面の両方をコピーして同封します。

マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバーを確認できる書類(通知カードなど)のコピーと、本人確認書類(運転免許証など)のコピーの両方を同封しましょう。

個人情報を含む重要書類のため、普通郵便は避けて追跡可能な方法の選択が大切です。たとえば、レターパックや簡易書留、特定記録郵便などがおすすめです。郵送後は追跡番号を控えておき、必要に応じて配達状況を確認できるようにしておきましょう。

e-Taxを活用する

e-Taxは、国税関係書類を自宅のパソコンから電子申告・納税などができる便利なシステムです。廃業届の提出もこのシステムを利用することで、税務署に出向くことなく手続きを完了させることができます。

まずは、e-Taxの利用に向けた準備が必要です。最初に利用者識別番号を取得し、続いて電子証明書を入手します。その後、e-Taxソフトをパソコンにダウンロードし、取得した電子証明書の登録を行います。

これらの準備が整ったら、e-Taxソフト上で「個人事業の開業・廃業等届出書」を作成します。書類の作成が完了したら電子署名を行い、最後に完成したデータを送信して手続きは完了です。

e-Taxは基本的に24時間利用可能ですが、メンテナンス時間帯もあるため事前にe-Taxの利用可能時間を確認する必要があります。e-Taxを活用することで税務署に出向く手間を省けます。

廃業届を出さないリスク

個人事業主が廃業する際は「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出を行わないと、事業が継続していると見なされます。ここでは、廃業届を出さないことで起こるリスクについて詳しく解説します。

出さなくても罰則はない

廃業届を提出しなくても直接的な罰則はありません。しかし、その後の対応にはさまざまなリスクが伴います。

税務署は廃業届の提出がない限り、事業を継続していると判断します。そのため、実際に事業を終了していても、確定申告や各種税金の納付義務が続くことになります。

罰則自体はありませんが、面倒な手続きや想定外の税金納付義務が発生するなど実質的な負担が伴う可能性があります。事業を完全に終了させるためにも、廃業届を提出しましょう。

納税を求められる可能性がある

廃業届を提出しないと税務署は事業が継続していると判断するため、納税義務が発生します。具体的には、消費税の課税事業者であれば、事業終了後も消費税の申告・納付が必要になります。

所得税についても、実際に事業を行っていないにもかかわらず、税務署から確定申告の案内が送られてくる可能性があります。

案内に対して何も対応しない場合、税務署は無申告として扱いペナルティの対象となる恐れがあります。つまり、無申告加算税や重加算税、延滞税などが課されるリスクが伴います。

さらに、事業を廃業したにもかかわらず、源泉所得税の納付義務も続くことになります。従業員がいた場合、その責任は事業主が負うことになります。

後のトラブルに発展させないためにも注意が必要です。事業終了後の税務上の混乱を回避するには、重要な手続きだといえます。

青色申告の受理に影響する可能性もある

廃業届を提出しないと、将来的に個人事業主として再度活動する際に影響が出る可能性があります。税務署は青色申告の承認で、過去の手続き状況を確認します。

廃業時に必要な書類を適切に提出していないという履歴がある場合、再度青色申告の承認を得る際に、不利になってしまうことも考えられます。

また、休業する場合に誤って「廃業届」を提出してしまうと、事業再開時の手続きが複雑になります。本来の目的は休業だったにもかかわらず、税務上は廃業扱いとなるため、再度開業の手続きを踏まなければなりません。

したがって、廃業では確実に廃業届を提出し、休業では提出しないよう注意が必要です。手続きの履歴が後々の事業再開に影響を及ぼすリスクを避けるためにも、適切な書類の提出が重要となります。

廃業に伴う費用と資金調達方法

個人事業主が廃業する際には、事業清算に関連する費用が発生します。状況に合わせて、効果的な資金調達策を検討することが大切です。以下では、具体的な費用や資金の調達方法について解説します。

個人事業主の廃業費用

個人事業主が廃業する際には、いくつかのコストがかかってくる可能性があります。まず、廃業そのものの手続き費用は基本的に無料です。個人事業主の場合は登記などが不要なため、解散や清算人の設置、公告などの費用は発生しません。

ただし、事業の清算に伴う費用は別途必要になってきます。この費用の内訳としては、設備処分費用や店舗の原状回復費用、在庫処分費用などです。さらに従業員を雇っていた場合は、退職金の支払いも必要となります。

事業規模や経緯によって費用は大きく変わってくるため、事前に見積もりを立てておくことが重要です。廃業にあたっては、これらの諸費用を捻出する必要がありますが、後述する資金調達の方法を活用することで、スムーズに対応が可能になります。

小規模企業共済の活用

小規模企業共済は、個人事業主の将来設計を支える重要な制度です。この制度は、中小企業基盤整備機構が運営する国の制度で、事業主の「退職金」として機能します。

月々の掛け金は最低1,000円から最高7万円までの範囲で自由に設定でき、事業の収益状況に応じて増減できます。掛け金の全額が所得控除の対象となるため、現役時代の税金の負担軽減にも役立つでしょう。

このように、現役時代の事業運営から廃業後の生活まで幅広くサポートする制度となっています。ただし、小規模企業共済は、納付年数によって給付額が変わります。一定の納付期間を経ていない場合、給付は受け取れないため注意が必要です。

不動産を担保にしたローン利用

不動産を担保にしたローンは、廃業に伴う資金調達の有効な選択肢です。この方法は、所有する不動産を担保として設定することで、使途に制限なく必要な資金を確保できる仕組みで金融機関や消費者金融、信販会社などが取り扱っています。

個人向けのカードローンなどと比較すると、金利が低く返済負担が減らせます。また、返済期間を長く設定できるため、月々の返済額も軽減できます。

ただし、返済期間が長引く分トータルの支払額も増えるため、無理のない資金計画を立てたうえで借り入れることが重要です。

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こちらの記事では、土地担保で融資を受けるメリットとデメリットについて解説しています。融資を受ける仕組みや方法も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

廃業するのではなく休業する場合

事業の完全な終了を選択する前に「休業」という選択肢も検討してみましょう。休業とは、事業を一時的に停止する状態を指します。

休業する最大のメリットは、これまでに取得した許認可や資格を維持できる点です。廃業の場合、再び事業を始めるには一から手続きが必要となりますが、休業の場合は許認可や資格を保持したまま再開できます。

休業の手続きには、いくつかの届出が必要です。主に税務署への「個人事業開業・休業・廃業・変更届出書」の提出があります。

従業員を雇用している場合は「給与支払事務所等の廃止届出書」も必要です。また、消費税の課税事業者である場合は、別途届出が求められます。

社会保険に加入している場合は、年金事務所への手続きも忘れずに行いましょう。なお、所得税に関しては特別な休業届の提出は不要です。

ただし、確定申告の際には青色申告決算書や収支内訳書の特記事項欄に休業中である旨を記載することをおすすめします。これにより、収入の減少について税務署への説明が可能となります。

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まとめ

個人事業主の廃業届の提出は、長年営んできた事業を正式に終了させる重要な手続きです。提出書類は「個人事業の開業・廃業等届出書」をはじめ、青色申告や消費税関連の書類など、漏れのない準備が必要です。

提出方法は、税務署への持参・郵送・e-Taxの3つから選択でき、それぞれの特徴を理解したうえで最適な方法を選びましょう。

また、廃業に向けた資金面での準備も重要です。ワコーファイナンスでは、豊富な実績で培った専門知識を活かし、お客様の状況に応じた最適な融資プランをご提案いたします。

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