<消費増税>財布のヒモ固い消費者 流通業界あの手この手
消費税が8%に引き上げられた1日以降、駆け込み需要の反動減が見込まれる。スーパーや百貨店は税込み価格の据え置き、値下げなど、売り方にも工夫を凝らすが、消費者は慎重な姿勢だ。
大手スーパー、イオンは、プライベートブランド(PB)5000品目など計2万品目の税込み価格を据え置き「実質値下げ」した。イオン大日店(大阪府守口市)の客足は「普段とはあまり変わらない」(同社)という。担当者は「商品を企画して安く提供するので、反動減の『谷』は深くならない」と1カ月程度で盛り返す目標を掲げる。イトーヨーカ堂も「価格据え置き宣言。」と題し、2572品目の据え置き・値下げを実施中だ。
それでも、イオン大日店を訪れた大阪府守口市の主婦、宮崎喜久子さん(71)は「洗剤やティッシュなど保存がきくものは増税前に買いだめした。今後は服を我慢したり、外食を控える」と話す。大学生の子供がいる同市の主婦、中林ちえこさん(50)は「子供がよく食べるので食費がかかる。セールを狙い安い物を買いたい」と工夫を凝らす構えだ。一方、ライフのセントラルスクエア西宮原店(大阪市淀川区)を訪れた近くの会社経営、谷沢知子さん(65)は「普段の少額の買い物だったら特に気にしていない」。
全国の百貨店では、前回増税時(1997年)の売上高が3月に前年同月比で23%増えたが、4月は14%減。今回も反動減が見込まれるため、てこ入れ策に力を入れる。高島屋大阪店(大阪市中央区)は昨年より2週間早く、紳士服売り場にクールビズコーナーを設置。全館のマネキンの衣類に白や青の夏らしい服を着せた。3月中に春物衣料を購入した人が多いため、夏を先取りした衣類で、消費者の購買意欲に働きかける。
大丸梅田店(大阪市北区)では、担当者が「イベントを次々に打ち、反動減を抑える」と強調。9日からJR大阪三越伊勢丹、駅ナカ商業施設「エキマルシェ」と合同で、行楽向けの弁当などを販売する「うまいもん対決!」のほか、4~6日に梅田店を含めた大丸松坂屋全店でメール会員3万人に500円券を贈呈する。
大丸梅田店で買い物を終えた大阪府豊中市のパート、藤森楓さん(36)は「昨日まで安かったと思うと靴の購入に踏み切れなかった。しばらくは買い物を控えるかもしれない。買うとしてもポイントがたまるクレジットカードで賢く対応したい」と話した。【古屋敷尚子、岡奈津希】