菅直人首相(64)は4月21日、福島県に入り、避難所などを訪問する。避難指示が出ている福島第1原発から半径20キロ圏内について、一帯への立ち入りを禁じる「警戒区域」に近く指定、併せて住民の要望が強い一時帰宅を段階的に実施する方針を表明する見通しだ。避難中の生活支援に万全を期す決意も住民に伝える。
文科省関係者によると、指針案では、20キロ圏内の住民が、避難先へ移動するための費用や家財道具の移動費用について、全額賠償するように求めている。避難先で滞在するホテルの宿泊費用も対象としている。
20キロ圏内以外でも、政府の指示で避難を余儀なくされた場合については、同様の賠償を求めるという。
営業損害については、避難がなかった場合に想定される収益を全額賠償とした。営業ができなくなった事業者については想定された利益を全額、企業などに通うサラリーマンについては支給が予想された給与などの全額賠償を求める。
また、避難の指示はないが、屋内退避区域となっている30キロ圏内の営業損害についても、20キロ圏内と同様の損失が生じているという理由から全額賠償対象となった。30キロ圏外でも政府の指示で出荷停止となった農水産物については、予想された売り上げを全額賠償対象としている。避難に伴う精神的苦痛についても、損害賠償額の算出方法を示す方針だ。
事故の影響は風評被害など広範囲に及んでいるが、政府の指示で生じた損害は、事故との因果関係がはっきりしているため、審査会では先行して賠償指針案を示すことにした。
22日の審査会で審議されたうえで、了承されれば、東電や被害者側に示される見通し。指針の全体像は7月までに示されることになっているが、難航も予想される。
原発事故の賠償交渉は、事業者の電力会社などと被害者側の住民らの間で行われ、賠償額の負担しきれない部分を国が支援する仕組み。審査会は、賠償交渉をスムーズに進めるため指針を定める組織で、今月11日に原子力損害賠償法に基づき、文科省に設置された
政府は18日、東日本大震災の復興財源を確保するため、消費税を早ければ2012年度から3年間限定で3%引き上げ、8%とする方向で検討に入った。
国民に幅広く負担を求め、復興を推進するのが狙いだ。被災地の住民については負担増を避けるため、税率引き上げ分の納税額を後から還付する仕組みを整える方向だ。
東日本大震災の被害額は、内閣府の試算で最大25兆円に上る。消費税収は1%あたり年間約2・5兆円で、税率の3%引き上げで約7・5兆円を確保でき、3年間で復興に必要な支出の大半を賄えることになる。
政府・民主党は18日、本格的な復興に充てる11年度第2次補正予算案の財源を賄うために「復興再生債」(仮称)を発行する方針を決めた。政府は、消費税率引き上げによる税収を一般会計から切り離した「震災復興基金」(仮称)で管理し、復興再生債の償還財源とする考えだ。
東日本大震災を受けて休園していた千葉県浦安市の東京ディズニーランドが15日午前、約1か月ぶりに営業を再開した。
再開前には、この時期の平日としては多い約1万人の行列ができ、午前8時に入場ゲートが開くと次々に入園していった。
TDLを運営するオリエンタルランドによると、営業再開にあたって、園内の噴水を止めるなど節電対策を実施。地震で一部が破損した人気アトラクション「ビッグサンダーマウンテン」は、補修のため今月末まで休止する。併設する東京ディズニーシーについては「早期再開を目指す」としている。
また、5月14日までの1か月間、入場料から1人当たり300円を被災地復興のための義援金として日本赤十字社に寄付する。
東京タワー(東京都港区)から「がんばろう日本」のメッセージ。節電のため、3月12日からライトアップを中止していた東京タワーの大展望台に、白く輝くエールが灯った。 LED電球8400個を利用し、電力には太陽光発電を使っている。点灯は16日 (18時40分から22時)まで続く。
東日本大震災で操業を停止していた釜石市鈴子町の新日本製鉄釜石製鉄所(谷田雅志所長)は13日、線材の生 産を再開した。津波で構内の一部が冠水するなど被害を受けたが、修復作業が終了。「鉄の街・釜石」にとって製鉄所の再開は、復興への大きな一歩として市民 を勇気づけそうだ。
同製鉄所は釜石港にある港湾施設が津波で大きな被害を受けたため、君津製鉄所(千葉県君津市)からの材料搬入ができない状態が続いている。このため当面は、震災前からあった在庫の材料を使って生産する。
通常を下回るレベルでの操業にならざるを得ない見通しだが、同社は「引き続き復旧作業を進め、本格的な生産体制の構築を目指したい」としている。震災後に新日鉄グループで実施していた、釜石製鉄所の製品の代替生産も続ける。
釜石港の同社の港湾施設は、建物が傾くなどの被害があり、復旧には時間がかかる見通し。自社以外の港湾施設を活用できないか検討を進める。完成した製品の出荷についても、通常の船ではなくトラックなどで陸上輸送するという。
線材はタイヤの補強材・スチールコードなどに使われ、同製鉄所の線材品質は最高級とされる。同製鉄所は従業員が約250人、協力会社を含めると約千人と地元経済に大きな影響力を持つ。
野田武則市長は「近代製鉄発祥の地である釜石は製鉄所とともに歩んできた。操業再開は大変喜ばしい。今後の事業展開には市も可能な限り協力する」と誓う。